傷つけ、傷つけられる場所へ
Syrup16g【Hurt】発売から、毎日それを聴いている。
ずっと、彼らを待っていた。
あの武道館のLast Waltzから、あの終幕の光に満ちた武道館から。
バンドが解散して再結成するということは、実はそこまで珍しいことではない。
けれど、UNICORNもそうだったし、Syrup16gもそうだったが、解散前の空気をどうあれ耳にしていると、きっと自分が生きている間にその願いが叶うことはないのだろうなと思ってしまっていた。
まして、五十嵐隆が犬が吠えるから生還までの歳月、どのように生きているのかすらほぼわからない状態(MUSICAなどのインタビューで読んで、泣きそうになった)だったから、彼の帰還を願いつつも、もうそれは叶わないのではないかとすら思っていた。
昨年、突然の帰還の知らせがあり、そのメンバーは中畑さんとキタダさんだった。もう二度と同じステージに立つ3人を見ることはかなわないと思っていた。それがあのステージ上で再現された。それでも、自分は再びSyrup16gが動き出すとは思っていなかった。
唐突に告知されたニューアルバム制作の知らせ。
これまでと、これからを感じさせる旅立ちのアルバム。
賛否両論、ずっと彼らを待っていた人たちの中でも評価が分かれるアルバム。
上等じゃないか、誰もが賛美するアルバムなんて、つまらない。問題作なんて、復帰作なんてレッテルのいらないアルバムだと思う。
どうあれ、待ちわびた詩と、メロディの帰還。
シェアされる怒りも憂鬱も、そして喜びも、傷つき、傷つけられる場所へ彼らは帰ってきたのだから。そして、また新しい歌を歌ってくれるのだから。
生きていて、良かったって思うことって、正直そんなにないんだけど、勝手に信じて、待ちわびてきたことが叶うこともあるんだと思った。
変わった部分と、変わらない部分と、変わっていく部分と、全部含めて、おかえりなさい。帰ってきてくれてありがとう。