静かに壊れていく秒針たちが

詩メインで、あとは徒然に音楽のことなど

アスパラガスガラパゴス

世間体に栞を挟んで 一時保留 旅に出よう

適当な電車で何となく途中下車

薄汚れたイタリア料理屋の 伸び切ったラビオリの付け合わせにアスパラガス

それだけが瑞々しく ぷちりと噛み切ると水分が浸透していった

澱んだ河に水を流す 理屈を知らない子供の笑みのような そんなシンプルさで
水は河になり 汚れていくのだろう 珈琲に溶ける砂糖 またどこかへ移動する

歩みの鈍い亀であることを許されるのが休日であるならば 給仕の休日こそが最適

疑うことのない常識の敷き物の上に居ては 汚れて行くことにも傷つかない

気付かないふりですらない 進化を止める 自分だけの時間を止めたいと願う

エゴイストな絶対者への変身願望だけが破れた蛹から漏れだしてみえる人ばかり

旅に出ても 多かれ少なかれそういう景色は変わらない それが本質だとも思わない
属性のひとつ この星さえ惑星のひとつだから驚くには値しない気がする

緑の瑞々しさと発見されずに止まりたがる人々 アスパラガスガラパゴス
そういう単語を思い浮かべて ベーコンに包んだアスパラを口に運ぶ

栞を戻し再び世間体を読み始める前に おまじないのようにくちづさんだ

アスパラガスガラパゴス