静かに壊れていく秒針たちが

詩メインで、あとは徒然に音楽のことなど

うつくしいうた

うつくしいうた それだけで世界を壊してしまうようなうつくしさ 現し世の空蝉 素晴らしい忘却と偉大なる嘘と 泳ぎ方を忘れた魚のため息と それらで構築された音楽 夕日を飲み込んだ海で 人魚はいつまでも踊り続ける 銃声はもう聴こえなくなって 同時に誰かの…

VANISHING

おそらく世界なんてもうなくて あるのは亡霊の追憶だけ 幾つもの物語も全て語り終えられて 後に残るのは何もない 星になった命もまた 消えていく 消えて また消える

見つけた永遠の足跡を笑う

たくさんのふしぎ いくつかのあたりまえ 操作されない心のままで それらを器用に撹拌しよう 分離と離反 引き裂かれる己と己 けれどそれこそが現実的な姿 素晴らしくもなく生々しい 褒められたものではないが けなされるべきものでもない 素顔でも化粧でもそ…

混ざりあう

悲しみが愛しいのはそれがリアルだから嘘ですら嘘にならない時代にそんな現実を抱き締める愛しさが怖いのは際限がなくなるから本当の愛なんてないよそれぞれの愛があるから感情は交差し交わりながら求めあう絡み合いながら溶けていく

【day dream】

砕けた硝子の音 粘土の奥の感情 欲したのは温度 得たものは湿度 忘れた頃に取り戻す 損失補填のための吐き気のする打算 吐けない自動装置 Automatic幻想 考えの足らないalchemist 限のない霧の中で 包括的な総括を 自主規制 逆再生を巻き戻しし 過去を取り戻…

似あうのは

不幸せが似あうのは 長い間下を向いて暮らしているから 上を向いても上向かない事に項垂れて その重さで固定されて沈むばかり 青い鳥を欲しがるけれど 鳥かごに入れるのは厭だなんて 偽善者にすら届かない 半分だけの使命感を指名して 結局は持て余す だらけ…

薔薇の瞳

場違いな薔薇が 霧の中で咲き続けていても それを見る人がいなければ報われはしないか 薔薇は薔薇として刺の中で眠る 自分を傷つけて 同時に温めて 笑いながら涙を流すように 咲き続ける 枯れたかったから花は枯れた 遠い山に光る何かを 見たくないからと枯…

NIRVANA

取り急ぎ憂鬱に涅槃 百科事典もデジタル化された世の中で 頁を捲る音で空気を切り刻む 微塵斬りの五里霧中 パセリの匂いとセロリの味と それらを飲み干してため息を送り出した 絶望のバーゲンセール 希望もまた廉価版 信じられるものといえば確かな痛みだけ …

可燃物として

欠落感があるから 特出した何かが手に入るなんて定型文で 自分の願望を諦めさせる旅路 先生それはどんな症例ですか 奨励される普通のオンパレードにげんなりして パレードを抜けだして裏地でビールをあおる 寂れたバス停 電灯の点滅 意識もシンクロして消え…

眠りの中で抱きあうように

向日葵の側で眠る猫 再生の約束 繰り返される生命の連鎖の果てで いつか果たされるべき約束と終焉 片目を閉じたままの羊 拡大コピーを繰り返され元の姿を失った聖書 猫は爪を研ぐ 向日葵は眠る この世界の最後の日が来ても どこかで生命は満ちていくから き…

笑いながら恋は雨に流されて消えた

椿屋四重奏が十二分に評価されきらなかったことは、安全地帯やCHAGE and ASKAという名前をJ-POPやニューミュージックに押しやってしまったこの国の音楽状況とリンクして、なんだかやるせない。 中田裕二というシンガーが持っている歌謡曲テイストと和を感じ…

拍動

始まりの音 胸の中で 心の中で 紡いでから泣いた 繋がらないから 温度の交換 感情の盗人 あなたがあなただったから この拍動は始まった 嵐の夜に生まれたあなた 笑う日差しの下 涙も乾いたら 静かに 静かに 目を閉じて拍動を鎮める 遠い日の 懐かしい音

再生

期待を枯らして 種を収穫する ほぼカラカラでカサカサのそれを 再生の大地に蒔こう 砂漠に花を咲かせるように 日々に水を求めていこう 最高の最低を 驚愕的な普遍を 壊された玩具を修理して 握りしめた手のひらを開いていこう

オーダーメイド

ダストシューターにダイブ ゴミに紛れればゴミな気分も目立たなくなるだろう 調和 共生 矯正 強制 そんなもん 要らないんだよ馬鹿野郎 本気で生きるほど本当に息苦しい エゴもレゴ 定形の憂鬱で組み上げられ 誰の悩みが誰と共振するのかなんて耐震偽装 感情…

簡素な淡さと冷酷な夕刻

甘い曖昧 ペンネグラタンの材料を買いに彼女の家の近くまで 口実 あらゆる可能性の中から一番遠いものを選んでから 後悔への航海 どうせ何時かどうにもならなくなると くしゃみしながら 哀しい予感 それでもいいかと 彼女の家に向かう 行きたい場所はいつだ…

きりがないね

頬の傷 笑うときの彼女にはいつもその傷が 微笑む度に弱さを隠す その傷が愛おしい 最上の言い訳で ため息の数を更新する そんな毎日がとても疎ましい けれどそれでなければ並立できな足踏みなら それがかけがえのないものにも感じられる 普遍的な言葉で愛し…

僕が僕であることに

僕が僕だった頃 僕が僕と出会った頃 アイスクリームはあまりに甘すぎた田舎の川は もう生活排水に汚されていて 雨の色は濁っていたありあふれるリアルには手も触れずにメールもFAXも無かったから 下手な字で手紙ばかりかいていた 震えるノスタルジアの鐘 英…

過去も現在も等しく愛しく

最先端の端末でそれでも会話する内容はといえば変わらない 愛の言葉も相も変わらず ろくでもない感情を愛情だとかいうことも同じ それでもいいしそれがいい ツールのルーツを探してもルールは定まらず 結局は個々人のモラルに委ねられますって誰かが宣言して…

白旗を染める暁

弁明の伝令 知ったことではない 起動能力の範囲で思考回路を修復し 圧倒的な憂鬱を漕ぎだす1%の気力をサルベージ 巧妙な平等の嘘に 騙されたままで幸せが手に入るなら それはコイン何枚分の等価交換か 生きづらさなんて誰かに差し出されるものはなく 生存本…

零時

散る昨夜 朔夜 鳩尾にエタノールと郷愁 遠く離れてそばに居て あなたがここにいて欲しい プログレ ハードジャズ 数百ページの文庫本 花散る朝 伸ばす指先に焦がれた太陽を 漆黒と薄紅 散る夕 YOU バナナの中の糖度を凍らせるように 壊した感触を嗅ぎながら時…

奏で愛しい

静謐な空間 デヴィッド・ボウイの昔のレコードを鳴らす 始まる混沌 そして愛 音楽が流れていない場所にも愛はある ただ音楽が流れている場所で語らずに感じる愛を 自分は愛おしく思う。 奏で愛しい JAZZが死んだ日 ロックンロールが眠り ブルースは低速をす…

私もだ

ブルータスお前もか そう私もだ 誰もが弱く 誰もが強くあろうとする その強さは弱さであり その弱さは強さであるというのに メビウス 螺旋 切り離せないもの プラナリアの蠢きと 動脈と静脈 冷静に分析しても血液は滾る そうお前もだ そして私もだ 人間であ…

ハツカネズミのハピネス

走り続けるハツカネズミ ベリー成分高めの紅茶を飲んで 一息 ため息 愛してやまない音楽で安息 トラブルズ so many troubles 憂鬱に花が咲いて散って種を蒔いて ろくでもなさで競う憂鬱が高まるなんて馬鹿げて だから笑う 皮肉でも快活でも 笑っていこう ハ…

放浪者

眠りのパートナーズ 暗がりで光り泳ぐクラゲたちのっ待つ部屋 アロマキャンドルと毒の香り サンタンデールで買ったタペストリーズ 120円程度で買ったアイスクリープをスプーンの裏で溶かしながら バニラエッセンスの苦味に顔を歪めて その後で破顔 開放なの…

吐き出した息は再びの言葉へと紡がれる

波音に委ねた意識 寸断された輪切りの感情 溶け出す時計と迷った羊 捕鯨船に乗った海星は太陽に焼かれて干からびていく 迷宮で待つ孤独 ミノタウロスとメデューサの静寂 レモネードを混ぜながら言葉は萎びていく 早急に永久を捨て去る必要がある 多分 紙を食…

適当な痛みと妥当な空疎

でたらめな言葉で傷つけたのは 気まぐれな始まりの頃からずっとそうだったという理由 分析しても分解できないなら弁解もきっと無理で 歯車を狂わせるのも そもそも組み立てからずれていたというオチ 眠りの浅い兎は案外とタフネスに溢れていて 傷ついた振り…

Brain Washed

悪意90%OFFで伝わるニュースショーのコメンテーターが微笑 エンターテイメントの押し売り 閉じてもこじ開けて入ってくる情報を遮断するための洗脳 香のスティック炊きこんで音楽のスイッチを入れる 情報操作の手順表 PCだろうがディスプレイだろうが街頭ビジ…

終わる世界の彼方で

終わった楽園の夢を見る猫 それは幻の都 異国を求めるあまりに姿を無くした 砂の楽園 太陽の印 月の嘆き 闇を恐れた光の毒は 世界を覆い食い尽くした これは現実の虚飾 これは現実の虚ろな今 見上げるは黒い猫 世界の彼方の黒い猫

化石と翼

迫害されたものに祝福を 薄紅色の悲しみを Cloveの香りの煙草をくゆらしながら 寒い朝の中 震える指先で震えたあなたを抱きしめたのです 遠く聞こえるワルツ・フォー・デビィ 肌をすり抜けて聴こえるリズム 外で笑う子供たちの戯言 混ざり合って 新しい音楽…

透明度の高い糖衣の裏側で

ハニードーナッツ 糖衣の中の苦味と香り 人生の嘆きを忘れるための甘さ バニラエッセンスのさらにエッセンス 忠告だらけの指南書を破り捨て 自分の頭で考えだした途端に重力は増した 煙草とドーナッツ 薄荷と着火 糖衣の中で誤魔化され続ける苛立ちも やがて…