静かに壊れていく秒針たちが

詩メインで、あとは徒然に音楽のことなど

僕が僕であることに

僕が僕だった頃 僕が僕と出会った頃 アイスクリームはあまりに甘すぎた
田舎の川は もう生活排水に汚されていて 雨の色は濁っていた
ありあふれるリアルには手も触れずに
メールもFAXも無かったから 下手な字で手紙ばかりかいていた


震えるノスタルジアの鐘 英語は洋楽のタイトルくらいしか言えなかった
言えない言葉 伝えられないことなんてありはしないと思っていた

そこに僕はいて いつかどこかで離れ離れになってしまったというのに
捜索願も出さなかった 『君』という存在に甘えて 受け継いだ次の人にも
繰り返して さわりあって 溶けてひとつになった気分だけ味わって
またひとりになると 記憶の端のぼろ切れみたいに小さくなった僕を思い出した

感傷のスプレーで 心の窓とやらを拭き掃除してみるけど 細かい傷が際だっただけで
馴れたこと 萎えたこと いつまで引き摺れば満足できるか分からない
僕が僕でなくなる時は この世界にさよならって言う時なんだろうけど

無意識な無機質 物を追い求め始めてから 気持ちが壊れ始めてしまって
目立たない傷は そのまま放っておかれてしまう そして自分も受け入れて行く

僕は僕でなくなるために 何かを置いてきた そして此処に座り込んだ
拾いあげる言葉はなく 風化するまで忘れたまま