NIRVANA
取り急ぎ憂鬱に涅槃
百科事典もデジタル化された世の中で
頁を捲る音で空気を切り刻む
微塵斬りの五里霧中
パセリの匂いとセロリの味と
それらを飲み干してため息を送り出した
絶望のバーゲンセール
希望もまた廉価版
信じられるものといえば確かな痛みだけ
喜びが幻想であろうとも痛みだけは圧倒的なリアル
白檀と伽羅
香りの中で眠りたい
覚醒と睡眠
つまりは生と死
果てで待つ誰かに怯えずに
砂を巻き上げる風のように生きて消えたい
終生の修正
あるいは存在価値の書き換え操作
遠く離れて側にいて
近くに感じたそれが錯覚と失格
今日の細胞も死滅して
新しい細胞が生まれていく
まるで星と月
命が至る場所
そこで待っている
ずっと待っている
太陽が消えるまでそれを待ちながら
そこでただ待っている